本記事では昇圧回路の実験を行っていきます。最終的には400V以上の電圧まで発生させることができました。同様の実験を行う際は、非常に危険ですので、絶対にコンデンサの端子などに触らないでください。
高電圧を大容量のコンデンサに貯める行為は非常に危険です。実際に行う場合は自己責任でお願いいたします。
また、高周波の電磁波も出る場合があります。電子機器等に悪影響を及ぼす可能性があります。物品が壊れたとしても一切責任は取りません。
実際に実験される方は危険な回路を作っていることを自覚しながら作業するようにしてください。
本記事では高電圧コンデンサの充電を想定して、「小型」、安く」、「短時間充電」を目標にした、デュアル昇圧チョッパー回路を製作していきます。
価格を抑えるために発信回路に無安定マルチバイブレータ回路を使います。
無安定マルチバイブレータ回路は位相の異なる2つの波形を出力することができます。各波形にの信号をそれぞれの昇圧チョッパー回路に入れることで、2つの昇圧チョッパー回路を動かしていきます。
- 昇圧チョッパー回路
- 無安定マルチバイブレータ回路
- デュアル昇圧チョッパー回路図
- デュアル昇圧チョッパー回路の効果
❶.昇圧チョッパー回路
昇圧チョッパー回路は上記の回路にあるMOSFETをスイッチングさせてインダクタの電流量を変化させることで、コンデンサを電源電圧より高い電圧で充電できる回路です。
過去に昇圧チョッパー回路についての記事を書いていますので興味のある方はご覧ください。
「昇圧チョッパー回路について考える」
「昇圧チョッパー回路にあったMOSFETを考える」
今回はMOSFETのゲート端子に入力するON-OFFの信号を無安定マルチバイブレータ回路で作っていきます。
➋.無安定マルチバイブレータ回路
トランジスタを使った発振回路の一種で2つのトランジスタを抵抗とコンデンサでたすき掛けのように接続する回路です。
安く小型の部品しか使わない点が今回の回路にはぴったりだと思います。
❸.デュアル昇圧チョッパー回路図
昇圧チョッパー回路に使うインダクタとMOSFET及びスイッチングの時間は以前書いた記事を参考にしていきます。
参考記事
スイッチング時間は下記の式で計算しました。
$ ΔT=\frac{ΔI}{V}L $・・・・式(1)
実際に計算するとスイッチングのON-OFF時間は「352.5μs 」となりました。
$ ΔT=\frac{9A}{12V}470μH=352.5μs $
上記で計算したスイッチング時間になるようにマルチバイブレーション回路の可変抵抗を調整します。
参考記事
下記の式を使用します。
$ T=ln(2)・R・C $・・・・式(2)
式を変形させて発振のON-OFFが「352.5μs 」になる抵抗値を求めます。
$ R=\frac{1}{ln(2)・C}T $・・・・式(3)
式(2)を用いて可変抵抗器の抵抗を求めると10.82KΩになります。
$ R=\frac{1}{0.693・0.047μF}352.5μs=10.82KΩ $
❹.デュアル昇圧チョッパー回路の効果
昇圧チョッパー回路を1系統のみ動かしたときと2系統動かしたときで充電スピードが変わるか検証してみました。
共に電源をNOしてからコンデンサ電圧が400Vになるまでの時間を測定していきます。
・1系統
400Vまでの時間は約16秒
・2系統
400Vまでの時間は約8秒
2系統の方が1系統に比べ倍の速さで充電することができました。昇圧チョッパー回路が2つついているのでそりゃそーだといった感じでしょうか。
今回の実験はうまくできたと思います。回路図を含めて参考にしていただければと思います。