工作

汎用ゲートドライバを作ってみた

  • MOSFETでスイッチング作動をさせたい方
  • ゲートドライバについて知りたい方
  • 汎用的なゲートドライバが欲しい方

今回は汎用的に使えるゲートドライバを製作していきたいと思います。

ArduinoでMOSFETをスイッチングさせる際、直接Arduinoの信号をMOSFETのゲート端子に入力してもうまく動かず、MOSFETが発熱して壊れてしまいます。

これはArduino信号の電圧ではMOSFETを完全にONできないためです。

ゲートドライバを使うことでMOSFETのゲート端子にしっかり電圧を送り、うまくスイッチング動作をできるようになります。

今回は汎用的に使うことのできるゲートドライバを作っていきたいと思います。

目次
  1. ゲートドライバとは
  2. ゲートドライバの種類(インバータ駆動を想定)
  3. ゲートドライバ回路
  4. 駆動確認

❶ゲートドライバとは

MOSFETやIGBTといったゲート端子に電圧をかけて駆動制御するタイプの電子部品に電圧を供給するための回路です。

Arduinoといったマイコン及びマイコンボードの信号電圧は基本的に5Vです。また、出力される電流も少ないです。(Arduino信号の出力電流は約20mA)

一方、MOSFETをONするのに必要なゲートーソース間電圧はスペックにもよりますが10V以上は必要になってきます。

また、MOSFETのゲートーソース間は疑似的にコンデンサと同じようなふるまいをするため、高速でスイッチングさせるためには電流をしっかり流し、電圧をスピーディーに上げる必要があります。

これらのことからマイコン及びマイコンボードから出力れる信号の電力ではMOSFETが駆動できないため、ゲートドライバで信号電力を増強させる必要があります。

それ以外にも、MOSFETに流れる主電源からマイコン及びマイコンボードを守るためにアイソレータを入れて電気的に絶縁する役割を担うこともあります。

➋ゲートドライバの種類(インバータ駆動を想定)

ゲートドライバには方式によって種類がありますが、今回はインバータを駆動させるために使われる回路を考えていきます。

インバータ回路にはMOSFETの接続箇所によってハイサイド側とローサイド側があります。

この時、ハイサイド側のMOSFETのソース電圧は0~入力電圧の間で変動します。

なので、ハイサイド側のMOSFETはソース電圧を基準にそれより高いゲート電圧をかけないとONしません。

そのため、ゲートドライバにも工夫が必要になります。下記にインバータ回路を駆動する際に使用される回路を2種類紹介します。

フローティングタイプ

各MOSFETを駆動させるのに使用するゲートドライバごとに個別の電源をつける方式です。絶縁タイプのDCDCコンバータが使われることが多いです。

MOSFETに高電圧を流す際も対応ができ、回路動作もシンプルですが、複数のDCDCコンバータを使用するため高価になります。

ブートストラップタイプ

市販されているゲートドライブIC、セラミックコンデンサ、ダイオードを主部品として使用するゲートドライバになります。

ゲートドライバ用の電源が1つで良いため価格が抑えられます。

しかし、構造上ダイオードの耐圧までしかMOSFETに流れる電圧をあげられないため高電圧を扱うのには向いておりません。

❸ゲートドライバ回路

今回は汎用的に使えるゲートドライバを作成したかったので、少し価格は張りますがフローティングタイプのゲートドライバを作成しました。

部品表(1回路分)
品名 品番 個数 単価
絶縁タイプのDCDCコンバータ MCW03-12D15 1 \1,260/1個
電解コンデンサ 22μF 1 \10/1個
電解コンデンサ 10μF 2 \10/1個
セラミックコンデンサ 1μF 3 \20/1個
フォトカプラ TLP250H 1 \150/1個
カーボン抵抗 330Ω 1 \200/100本
カーボン抵抗 10KΩ 1 \300/100本
金属皮膜抵抗 15Ω 1 \300/100本
ツィナーダイオード 1N4747A 2 \21/1本

下記に回路図を示します。

15Ωの抵抗部分はピンヘッターにして、抵抗やダイオードを入れて調整することでゲート端子への電荷の出入りのスピードを調整できるようにしました。(ノイズ調整)

BLCDモータ用のインバータを駆動させるには6個のMOSFETを動かせる必要があるため6回路分のゲートドライバを作成しました。

❹駆動確認

実際にオシロスコープで問題なく動作しているかを確認しました。

黄色の波形がArduinoUNOを使って出力した波形、青色の波形がArduinoUNOを使って出力した波形を製作したゲートドライバに入力した際の出力波形になります。

うまく動作していることがわかりました。

今後はこの回路を使ってBLDCモータを回してみたいと思います。