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ZVS回路を自作する

本記事での実験では大電流が流れる場合があります。同様の実験、回路製作を行う際は、自己責任でお願いいたします。

また、高周波の電磁波も出る場合があります。電子機器等に悪影響を及ぼす可能性があります。物品が壊れたとしても一切責任は取りません。

  • ZVS回路の動作原理を考察する
  • ZVS回路を自作する

ZVS回路の回路図についてはネットでも多くの記事で紹介されておりますが、動作原理についての記載は少ないかと思います。

また、動作原理の説明も難解な部分が多くはっきり言って難しいです。

なので自分なりに勉強し、考えてみたいと思います。

あくまでも私なりの考えなので事実とは異なる場合もあるかもしれません。より正しくZVS回路を知りたい方は他のネット記事や専門書をご覧になることをお勧めします。

目次
  1. ZVS回路とは
  2. ZVS回路の動作原理
  3. ZVS回路の作成
  4. 動作確認

❶ZVS回路とは

ZVS回路は、スイッチング素子を制御して、そのスイッチング時に電圧がゼロになるように調整し、スイッチング損失を最小限に抑えることができる回路です。

特に高周波で動作するスイッチング電源やインバーターで使用されます。

ZVS回路は高い効率と高い周波数で動作することができるため、小型で効率的な電力変換ができます。

ネット上でよく出ているZVS回路の回路図は下記のものだと思います。

結構見る回路図ですがどなたが作成したかは不明です。作成者への感謝の気持ちを持ちながら本回路にて考えていきたいと思います。

➋ZVS回路の動作原理

実際にブレットボード上で作っていきたいと思いますが、上記回路図では部品配置的にブレットボードとの見比べがし難いため、回路図を書き直しました。

構成部品、配線は同じになります。

では早速ZVS回路の動作原理を考えていきたいと思います。

まず、2つあるMOSFETのうち、不均一性により片方がONになり片方がOFFにります。

回路に電源を接続すると2つのMOSFET(Q1、Q2)はそれぞれ抵抗(R1、R2)を通ってゲート端子に電荷が供給されるためONになろうとします。

しかし、同じ型番のMOSFETでもわずかに個体差があるためどちらか一方が先にONします。今回はQ1が先にONしたとします。

Q1がONすると青い矢印に沿って電流が流れるようになります。

また、Q2のゲート端子に流れた電荷はQ1がONしたことによりグランドへ接続されたため、赤い矢印に沿ってグランドへ流れていきます。

そのため、Q2はゲートに十分な電荷が蓄えられず、ONすることができません。

また、黄色の矢印に沿った電流も流れるようになります。

これもQ1がONすることにより黄色の矢印の部分もグランドへ接続されるためです。

しかし、途中にコイルがあるため、インダクタの電流が変化する際に電流の変化を妨げる抵抗としての機能により黄色の矢印に沿って流れる電流は青、赤色の矢印の電流よりも遅れます。

コイルに十分な電流が流れられるようになるとQ1のゲート端子の電圧は下がっていき、やがてQ1はOFFします。

Q1がOFFになるとQ2のゲート端子に流れた電荷が赤い矢印に沿ってグランドへ流れなくなるためQ2のゲート電圧が上がりONします。

以後この繰り返しです。

MOSFET(Q1、Q2)のON、OFFが入れ替わるごとにコイルに流れる電流の向きも入れ替わることになります。

❸ZVS回路の作成

実際にブレットボード上に回路を作成してみました。

使った電子部品は下記の通りです。

品名 仕様 個数
セメント抵抗 100Ω 5W 2
カーボン抵抗 10KΩ 2
ツェナーダイオード 12V 2
ファストリカバリ・ダイオード ER504 2
MOSFET TK100E10N1 2
インダクタ 200μH 9A 2
フィルムコンデンサー 2.2μF 250V 2

❹動作確認

ブレットボード上で作成したZVS回路と家にあったトランスを使って昇圧回路を作成しました。

トランスの細かいスペックは分かりませんが、9Vの入力で約230Vまで昇圧されています。電流は約1.25A流れているため11.25W消費しております。

問題なく回路が動作していそうです。

ちなみに一般的なブレットボードの最大定格電流は500mAだったかと思います。この電流を扱うのは危険ですので、ご自身で行う際は気を付けましょう。