レーザー彫刻機を使って生基板へ配線パターンを転写し、プリント基板を作っていきます。
自作でプリント基板を作る流れは
- 回路設計
- 配線パターンの決定
- 配線パターンの基板への転写
- エッチング
- リード線用等の穴あけ
となります。
この中で❸の「配線パターンの基板への転写」をする方法として
- ・感光基板を使用する方法
- ・レーザープリンタで印刷した紙のトナーをアイロンで移していく方法
の2つがよくネットで紹介されていますが、今回はレーザー彫刻機を使って配線パターンを基板への転写して、プリント基板を作っていきたいと思います。
- 必要物品一覧
- 回路設計及び配線パターンの決定
- 生基板のカット
- 配線パターンの基板への転写
- エッチング
- 部品取り付け用の穴あけ
❶ 必要物品一覧
・必要部品
品名 | 備考 |
生基板 | Amazonで購入 |
・その他消耗品
品名 | 備考 |
マスキングテープ | 基板加工に使用 |
ラッカー | 配線パターンの基板への転写に使用 |
メラミンスポンジ | 配線パターンの基板への転写に使用 |
アセトン | ラッカー落とし |
エッチング液 | エッチングに使用 |
・道具類
品名 | 備考 |
定規 | 基板加工に使用 |
アクリルカッター | 基板加工に使用 |
ハンドドリル&ドリル | 基板加工に使用 |
レーザー彫刻機 | 配線パターンの基板への転写に使用 |
プラスチック容器 | エッチングに使用 |
プラスチックの箸 | エッチングに使用 |
➋ 回路設計及び配線パターンの決定
今回、回路設計&配線パターンの作成は「KiCad」で行いました。本記事はレーザー彫刻機を使用して生基板へ配線パターンを転写する方法をメインに紹介するので、KiCadの使い方や回路設計&配線パターンの作り方は時間ができ次第、別記事で紹介したいと思います。
サンプルデータとして下記のタイマーICの555を使った発振回路を使っていきたいと思います。
下の配線パターンのみのJPEGデータを使って生基板への転写を行っていきます。
❸ 生基板のカット
Sunhayatoの紙フェノール、銅箔厚み35μmの生基板でプリント基板を作成していきます。
購入したままの生基板では大きすぎるため、完成基板より少し大きめに切っていきます。
マスキングテープで切断部分を決めて定規とアクリルカッターで傷をつけて折るようにするとうまく切れます。
❹ 配線パターンの基板への転写
続いて、配線パターンの基板への転写を行っていきます。
1.生基板にラッカーをかける
使用する生基板の銅箔部分にラッカーを吹きかけます。使用するラッカーは非光沢にしましょう。光沢のものを使用するとレーザー彫刻がうまくできない場合があります。
2.彫刻の大きさ等の確認
Kicadで作成した配線パターンをいらない紙などに彫刻して問題ないか確認します。
確認事項は
- 穴間隔
- 部品同士の間隔
- 配線パターンの向き(反転しているか)
- 彫刻箇所に問題ないか(今回のサンプルデータでは黒い個所を彫刻すればOK)
特に配線パターンの向きは間違えやすいので要確認です。
3.生基板への彫刻
ラッカーを吹きかけた生基板に配線パターンを彫刻していきます。私はGORIFEIというメーカーのレーザー彫刻機を使用しています。
彫刻のパワーはMAX、スピードは最遅で設定してちょうどよかったです。
使用するレーザー彫刻機によってもベストな設定は変わると思います。別の彫刻機を使う場合は数回実験した方が良いかもしれません。
彫刻した部分に薄くラッカーが残っているので「激落ちくん」のようなメラミンスポンジで落としていきます。
ラッカーがしっかり落ちると刻印した部分に銅箔が見えてきます。
ラッカーが残っているとエッチングがうまくいかないのでしっかり落としましょう。
この時にミスが見つかった場合、アセトンでラッカーを落として 銅箔に傷などの問題がなければラッカーを吹きかけるところからやり直すことができます。
銅箔むき出しの部分で溶かしたくないところがあれば、油性ペンを塗ることでエッチングからカバーされ、銅箔が解けなくなります。
❺ エッチング
プラスチック容器にエッチング液を基板が浸るぐらい入れます。 そこに、基板を入れ15~30分ぐらいの間隔で銅箔の溶け具合を確認します。
エッチング液は自作できますが、廃液の方法がわからない場合は 廃液処理剤込みのキットが売っているのでお勧めです。
今回私はNEOナイスとオキシドールでエッチング液を作りました。
(NEOナイス4:オキシドール1ぐらいの割合で混ぜる)
1~2時間ぐらいでエッチングが終了します。 エッチングが終わったら、液から基板を取り出し、テッシュ等で軽く拭いてから水でしっかり洗います。
上の写真がエッチングが終わった後の基板になります。配線パターンの右端に少し銅箔が露出している部分があるかと思います。ここは油性ペンでエッチングしないようにした部分です。
❻ 部品取り付け用の穴あけ
最後にハンドドリルで各部品用のリード線のあなを空ければ終了です。
ラッカーはアセトンで拭けば落とすことができます。
銅箔面は 酸化しやすく、酸化するとはんだのノリが悪くなるため、はんだ付け作業の 前にラッカーを落とした方がよいかもしれません。
長期にわたり基板を保護したい場合は、はんだ付けした後に市販の基板保護用のコーティング剤 を使用することをお勧めします。
各部品をハンダ付けしたら完成です。