「自動水やり機を作ってみた3 【 土壌センサを自作】 」で製作した土壌センサの回路に使われていたエミッタフォロア回路(コレクタ接地回路)についての深堀していきたいと思います。私なりにわかりやすく解説したつもりなので最後までお付き合いいただければと思います。
ただ作るだけでなく、原理を知って作ることにより、ほかでも応用できるようにしていただければ幸いです。
- エミッタフォロア回路とは
- コレクタ抵抗とエミッタ抵抗
- コレクタ抵抗の場合のトランジスタの動作
- エミッタ抵抗の場合のトランジスタの動作
- まとめ
エミッタフォロア回路とは
トランジスタのエミッタ側に抵抗(負荷)が置かれる回路をエミッタフォロア回路(コレクタ接地回路)と呼びます。
動作としてはベースを入力(IN)、エミッタを出力(OUT)とし、出力電圧VOUTが下式のようになります。
VOUT=VIN−VBE
式を見てもわかるように出力電圧VOUTが入力電圧VINに追従するように動作する回路になります。
なぜ、このような動きをするのか考えていきましょう。
コレクタ抵抗とエミッタ抵抗
左の図のようにコレクタ側に接続される抵抗をコレクタ抵抗といいます。「自動水やり機を作ってみた1 【 Arduinoとトランジスタを使った、モーター制御】」でポンプのつなぎ方がこれにあたります。一方、右の図のようにエミッタ側に接続される抵抗をエミッタ抵抗といいます。
これだけ見ると、どちらも同じように動作しそうに見えますが・・・
そこで再度、トランジスタの動作を思い出してみましょう。
ベース-エミッタ間に電圧が生じることでベース-エミッタ間に電流が流れると、電流増幅率hFE倍された電流がコレクタ-エミッタ間に流れる
コレクタ抵抗の場合のトランジスタの動作
コレクタ側に抵抗がある場合、本流の電気は電圧が降下した後にコレクタ-エミッタを通ってGNDへ流れます。
そのため、ベースーエミッタ間の電位は常にベースの方が高くなり、本流は流れ続けることができます。
エミッタ抵抗の場合のトランジスタの動作
エミッタ抵抗がある場合、本流の電気は電圧降下しないままコレクタ-エミッタを通ってエミッタに接続されている抵抗で電圧降下をし、GNDへ流れます。
そのため、ベースーエミッタ間の電位が生じ電流が流れてすぐに、ベースよりエミッタの電位が高くなり本流は流れなくなります。
本流が流れなくなるとエミッタの電位は下がりベースの方が電位が高くなるため、ベースーエミッタ間に電流が流れる・・・繰り返し
この繰り返しをしていくとベースーエミッタ間の電位差がギリギリ生じている部分でトランジスタの動作が落ち着きます。
理想的にはVOUT=VINとなりますが、実際はトランジスタのベースーエミッタ間に電圧降下VBEが発生するためVOUT=VIN−VBEとなります。この動きがエミッタフォロア回路の動作となります。
まとめ
1.エミッタフォロア回路とは
トランジスタのエミッタ側に抵抗(負荷)が置かれるた回路
2.トランジスタの動作を再確認
ベース-エミッタ間に電圧が生じることでベース-エミッタ間に電流が流れると、電流増幅率hFE倍された電流がコレクタ-エミッタ間に流れる
3.エミッタフォロアの動作
ベース-エミッタ間に電圧が生じることでベース-エミッタ間に電流が流れる |
↓ |
ベース-エミッタ間のhFE倍 コレクタ-エミッタ間に電流が流れる |
↓ |
エミッタの電位がベースより高くなるため、ベース-エミッタ間の電流が止まる |
↓ |
ベース-エミッタ間の電流が止まるため、コレクタ-エミッタ間に電流が止まる |
↓ |
ベース-エミッタ間に電圧が生じることでベース-エミッタ間に電流が流れる |
↓ |
以降繰り返し |
↓ |
ベースーエミッタ間の電位差がギリギリ生じている状態でトランジスタの動作が落ち着く |
動作が落ち着いている状態を、ベースを入力(IN)、エミッタを出力(OUT)とし、出力電圧VOUTを式で表すと
VOUT=VIN−VBE
となる。